この記事では、「刺し子糸を刺繍糸の代わりに使えるのか?」や「刺繍糸を刺し子糸として利用できるのか?」という疑問について解説します。
「刺し子糸と刺繍糸って、見た目は似てるけど…実際どう違うの?」
「刺繍糸がたくさん余ってるけど、刺し子に使えるのかな?」
刺繍や手芸を始めたばかりの方や、余った手持ちの糸を上手に活用したい人にとって、刺し子糸と刺繍糸の違いや代用の可否は気になるポイントですよね。
実はこの2つの糸、素材や太さ、仕上がりの印象まで、意外とたくさんの違いがあるんです。そして、使い方を間違えてしまうと、思っていた仕上がりと違ってがっかり…なんてことにも。
この記事では、刺し子糸と刺繍糸の違いを初心者さんにもわかりやすく解説しつつ、
- どんな時に使い分ければいいのか?
- 代用はできる?そのときの注意点は?
- それぞれに適した針はどれ?
など、よくある疑問を丁寧に解きほぐしていきます。
ハンドメイドをもっと自由に、楽しくするために。
あなたの「この糸、使えるかな?」という悩みを解決できたら嬉しいです。
刺し子糸と刺繍糸の基本的な違い
- 刺し子糸の特徴
- 刺繍糸の特徴
刺し子糸と刺繍糸を使い分ける理由
刺し子糸で刺繍糸は代用できる?
- 刺し子糸で刺繍糸を代用する場合
- 刺繍糸で刺し子糸を代用する場合
刺し子糸と刺繍糸で使う針の違い
- 刺し子糸に適した針
- 刺繍糸に適した針
これらについて記事内でさらにくわしく説明します。
刺し子糸と刺繍糸の違いとは?
刺し子糸と刺繍糸はそれぞれ異なる特性を持っています。
一見すると似ている刺し子糸と刺繍糸。どちらもカラフルで、コットン素材のものが多く、ついつい同じように見えてしまいますよね。
でも実は、それぞれの目的に合わせた特性があり、使い方次第で仕上がりに大きな違いが出てくるんです。
以下では、素材・太さ・風合い・仕上がりの違いを比較しながら、2つの糸の特徴を詳しく見ていきましょう。
刺し子糸の特徴と向いている使い方
刺し子糸とは?
刺し子糸は、日本の伝統的な刺繍技法「刺し子(さしこ)」のために作られた糸です。
もともとは、布を補強したり保温性を高めたりする目的で布に細かい縫い目を入れるための技術だったため、実用性を重視した丈夫な糸が使われてきました。
現在では、ふきんやバッグ、ランチョンマットなどの小物に模様を加える装飾的な刺し子としても人気があり、色とりどりの刺し子糸が手芸店でもよく見られるようになっています。
刺し子糸の主な特徴
特徴 | 内容 |
---|---|
✔ 太さ | 刺繍糸よりも太めでしっかり。模様がくっきり見える |
✔ 強度 | 摩擦や引っ張りに強く、洗濯にも耐えやすい |
✔ 素材 | 綿や麻など天然素材が多く、肌ざわりが良い |
✔ 風合い | マットでナチュラルな質感。和の雰囲気にも合う |
✔ 糸構造 | 撚り(より)がしっかりしていて、ほつれにくい |
✔ 色展開 | 最近はくすみカラーやグラデーション糸も人気 |
特に「糸割れしにくさ」「引っかかりにくさ」は、初心者さんにとって大きな安心ポイントです。
刺し子糸が向いている使い方
実用性が欲しい作品に
ふきん(花ふきん)、ランチョンマット、エコバッグ、ポーチなど、日常使いする布製品には、丈夫な刺し子糸がぴったりです。
太さを活かした模様に
シンプルな一筆書きのような図案や、幾何学的な模様でも、糸の存在感でデザインが引き立ちます。
白地に藍色の糸など、コントラストのある組み合わせも定番です。
和テイスト・素朴な仕上がりが好きな人に
刺し子糸はマットな質感で、どこかほっとするようなあたたかみがあります。和風の雰囲気や、ナチュラル雑貨が好きな方には特におすすめです。
ちょっとしたアドバイス:
刺し子糸には太さに違いがあるものもあるので、購入時には「並太」「細口」などの表示を確認して、図案や布に合うものを選ぶと◎です。
刺繍糸の特徴と向いている使い方
刺繍糸とは?
刺繍糸は、名前のとおり「刺繍」をするための糸で、繊細な模様やイラストのような図案を表現するのに適した細く柔らかな糸です。
一般的な刺繍糸は「6本取り」と呼ばれる構造で、細い糸が6本まとめて1本になっているのが特徴。用途や図案の細かさに応じて、1〜6本まで好きな本数に分けて使うことができるのが、刺繍糸ならではの柔軟さです。
刺繍糸の主な特徴
特徴 | 内容 |
---|---|
✔ 細さ | 繊細な図案や曲線も美しく表現できる細さ |
✔ 柔らかさ | なめらかな質感で、布にふんわり馴染む |
✔ 調整可能 | 6本取りなので、本数を減らせば自由な太さにできる |
✔ 素材 | 綿・シルク・レーヨンなど。光沢のあるタイプも人気 |
✔ 色展開 | 数百色あるブランドも。グラデーション糸も魅力的 |
✔ アート性 | 写実的・装飾的な刺繍表現に最適 |

刺繍糸が向いている使い方
図案の再現性を大事にしたい刺繍に
花・動物・人物などの図案、アルファベットやイニシャル刺繍など、繊細な表現をしたいときは刺繍糸です。特にフェイスラインや文字のカーブなど、細かいパーツには最適。
おしゃれで映える作品に
刺繍糸は、光沢感があり華やかさがあるので、刺繍ブローチ・ヘアアクセ・ミニタペストリーなど、おしゃれで見映えのする作品によく使われます。
糸の色や質感を楽しみたいときに
「刺繍糸=色遊び」といってもいいほど、豊富なカラーバリエーションが魅力。ブランドによっては300色以上そろえているところもあり、推し活やオリジナル配色も思いのままです♪
ちょっとしたコツ:
細い糸は絡まりやすいため、短めにカットして使うのがポイント。糸を通すときは「糸通し」を使うとストレスフリーです。
刺し子糸と刺繍糸は使い分けるべき?
結論から言うと、目的や作りたい作品によって使い分けるのがベストです。
どちらの糸もそれぞれに魅力があり、「これじゃないとダメ」ということはありません。ただし、「適材適所」があるのも事実。仕上がりの印象や耐久性、作業のしやすさに大きく影響するからです。
ここでは、「どういうときにどちらの糸を使うべきか?」を、わかりやすく比較しながら解説します。
こんなときは“刺し子糸”がおすすめ!
- ふきんやポーチなど、日常的に使う布小物を作るとき
- 模様をくっきり目立たせたいとき
- 「すくい刺し」でテンポよく縫いたいとき
- 和風・ナチュラルな雰囲気の作品にしたいとき
▶️ 刺し子糸は「実用性」と「素朴な力強さ」が欲しいときに◎
こんなときは“刺繍糸”がおすすめ!
- 花や動物などの細かい図案を刺すとき
- ブローチやポーチなど、アクセント刺繍に使いたいとき
- 色数をたくさん使ってグラデーションや陰影を出したいとき
- 光沢感のある華やかな仕上がりにしたいとき
▶️ 刺繍糸は「繊細さ」や「アート的な表現」がしたいときに◎

とはいえ…どうしても手元にないときは?
刺し子糸と刺繍糸は、一応“代用”することも可能です。ただし、代用にはそれなりのメリット・デメリットがあるため、それを理解した上で使うことが大切。
次の章では、
- 刺し子糸を刺繍に使う場合
- 刺繍糸を刺し子に使う場合
それぞれの注意点とおすすめの使い方を詳しく解説していきます。
刺し子糸で刺繍糸を代用する場合
「刺繍糸が手元にないけど、刺し子糸ならある…」
そんなとき、「刺し子糸を刺繍に使うことは可能?」と思う方も多いのではないでしょうか。
結論としては——
デザインや用途によっては、刺し子糸で刺繍をすることも可能です。
ただし、糸の太さや風合いが異なるため、すべての刺繍に向いているわけではありません。
ここでは、刺し子糸で刺繍を代用する際の「向いているケース」と「注意すべきポイント」を整理してご紹介します。
こんなときは刺し子糸でもOK!
単純な線の図案を刺すとき
アウトラインだけの図案や、イラスト風のざっくりした絵柄など、あえて“手作り感”を出したい刺繍には、刺し子糸の太さがちょうどよく感じられます。
大きめのモチーフで、あまり細部にこだわらないデザイン
たとえば、花や幾何学模様、文字などは、刺し子糸の存在感が映えます。
シンプルでナチュラルな風合いが好きな場合
刺し子糸のマットな質感は、布小物やリネン素材との相性が抜群です。素朴な雰囲気を楽しみたいときにおすすめ。
注意したいポイント
細かい図案には不向き
刺し子糸は太いため、人物の顔や動物の毛並み、グラデーションの表現など、精細な刺繍には向きません。 仕上がりがゴワついて見えることも。
糸の太さで針穴が目立つことがある
細い布や目の詰まったリネンに刺す場合、太い刺し子糸が布目を広げてしまい、布が傷みやすくなることがあります。使用する布との相性も要チェック。
刺しにくさを感じることも
刺し子糸は撚りがしっかりしていてやや硬めなので、曲線や細かい動きが多い図案だと針の通りがスムーズでない場合があります。

刺し子糸で刺繍するなら、こんな工夫がおすすめ!
- 太めの針を使う
→ 糸通りがよくなり、布が傷みにくくなります - 目が粗めの布を選ぶ
→ アイーダやざっくりとしたコットンリネンなど - アウトラインステッチなど、少ない種類のステッチで構成
→ 太い糸でもきれいに見えやすい
アイーダって何?と思った方はこちらの記事を参考にしてみてください。
>>> クロスステッチ布の表裏と見分け方!リネンとアイーダなど
刺し子糸で刺繍は“ざっくりデザイン”ならOK!
刺し子糸を刺繍に使うと… | 向いている場合 | 注意が必要な場合 |
---|---|---|
◎ 存在感のある図案に | ● 太めの線を活かすデザイン | ● 細かく写実的な図案には不向き |
◎ ナチュラルな作品に | ● 素朴な風合いを出したい時 | ● 繊細さや光沢感は期待できない |
刺し子糸で刺繍するのは、まさに「ざっくり、素朴に」がキーワード。
作品のテイストや布との相性を見て、ぜひチャレンジしてみてください。
刺繍糸で刺し子するのに向いているケース
鑑賞用の刺し子作品を作るとき
ふきんやランチョンマットなど実際に日常使いするアイテムにはあまり向きませんが、
壁飾りやパネル、インテリア雑貨など使用頻度が少ない作品ならOK!
カラフルな刺し子に挑戦したいとき
刺繍糸はとにかく色のバリエーションが豊富。
刺し子糸では手に入りにくいパステルカラーやグラデーション糸も使えるので、ポップで個性的な刺し子模様に仕上げたいときにはぴったりです。
線を細く仕上げたいとき
刺し子糸に比べて細い分、繊細でシャープなラインが出せます。特に「細かい幾何学模様」や「花びらの縁取り」など、図案の細部まで美しく仕上げたいときに向いています。

刺繍糸を使う際の注意点
強度が足りず、すり切れやすい
刺繍糸は摩擦や引っ張りに強くないため、布を補強するという本来の刺し子の目的には不向きです。
洗濯や繰り返し使用するアイテムには避けたほうが無難。
糸がほぐれやすく、絡まりやすい
特に6本取りのまま使うと、撚りが甘くて糸割れしやすいため、縫っている途中でふわふわしてしまったり、見た目が雑になったりすることも。
刺繍糸で刺し子をするためのコツ
- 糸を2〜3本取りで使う
→ 太すぎず、ほどよい存在感。1本取りだと線が細くなりすぎて目立ちにくくなります。 - 短めにカットして使う
→ 絡まりを防ぐ&撚りがほどけにくくなります(目安:40〜50cm) - 糸通し or 糸コーティング剤を活用する
→ 摩擦を抑えてスムーズに縫えます。絡まりやすいと感じたらぜひ試してみてください。 - 針は刺繍針より“やや太め”がおすすめ
→ 2〜3本取りを通しやすく、布通りもよくなります。

刺繍糸で刺し子をするなら“飾る目的”が◎
刺繍糸で刺し子をする場合 | 向いている | 注意点 |
---|---|---|
◎ インテリアや飾り用の作品に | 色の豊富さで表現が広がる | 強度が低く、実用には不向き |
◎ カラフルでポップな雰囲気に | グラデーションや光沢を楽しめる | 糸割れしやすいので扱いに注意 |
刺繍糸は“実用的な刺し子”にはやや不向きですが、アートとしての刺し子を楽しむには最適な素材。
刺し子=和風、という枠にとらわれず、自由なデザインで遊んでみたい方にはぴったりの選択肢です。
刺し子糸と刺繍糸で使う針の違いとは?
糸の違いと同じくらい大事なのが、「針選び」です。
刺し子糸と刺繍糸は、太さ・撚り・素材感が異なるため、適した針も変わってきます。
「とりあえず家にある針でいいかな」と思って使ってみると、布に通りにくかったり、糸が割れてしまったり…。せっかくの作品づくりがちょっとストレスに感じてしまうこともあるんです。
ここでは、刺し子糸・刺繍糸にそれぞれ適した針の特徴と、選び方のポイントを解説します。
刺し子糸に適した針=刺し子針
刺し子針は、その名のとおり刺し子のために作られた専用の針です。
主な特徴:
項目 | 内容 |
---|---|
✔ 太めの作り | 刺し子糸の太さに合わせたしっかりした針 |
✔ 長めの形状 | 「すくい縫い」がしやすく、一気に数針刺せる |
✔ 丸みのある先端 | 布を傷つけにくく、リズムよく縫える |
✔ 布通りがなめらか | 厚手の布でもスッと刺しやすい |
特に「すくい刺し(並縫い)」をスピーディーに行いたい場合は、長さがある針が便利。
メーカーによって長さや太さのバリエーションもあるので、自分の手のサイズや布の厚みに合うものを選びましょう。
刺繍糸に適した針=刺繍針
刺繍針は、細かい模様を美しく刺すために工夫された針です。
項目 | 内容 |
---|---|
✔ 細くて短め | 細かいステッチに適し、曲線もなめらかに刺せる |
✔ 先端が尖っている | 細密な布目にも刺しやすい |
✔ 針穴が大きめ | 6本取りの刺繍糸も通しやすい構造 |
✔ コントロールしやすい | 手の動きに馴染みやすく、繊細な表現がしやすい |
細い糸で刺繍する場合は針先の精度が大切。生地を無駄に広げず、糸通りもスムーズにするには、刺繍針がマストです。
迷ったらどう選べばいい?
- 糸に合わせて選ぶのが基本。「刺し子糸→刺し子針」「刺繍糸→刺繍針」でOKです。
- 布の厚みにも注目! 厚手の布には太めの針、薄手には細めの針が刺しやすいです。
- 初心者さんには“セット”もおすすめ
→ 数種類の太さが入った刺し子針・刺繍針のセットもあるので、まずはそこから試してみるのも◎
こちらは刺繍針のセットです↓。
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針を変えるだけで、作業のしやすさが格段にUP!
「なんだか刺しづらいな…」と思ったときは、実は針が合っていないだけということも少なくありません。
使う糸と針のバランスが合っていると、布通りもよく、仕上がりもキレイに。
ちょっとしたことですが、作品の完成度をぐっと高めてくれる大切なポイントです。
まとめ:刺し子糸と刺繍糸、それぞれの“らしさ”を活かして楽しもう
ここまで、刺し子糸と刺繍糸の違いや、それぞれの特徴、代用の可否、針の選び方まで詳しくご紹介してきました。
一見似ているように見える2つの糸ですが——
実はそれぞれに得意なこと・向いている表現・使いどころがしっかりあります。
刺し子糸の魅力は「丈夫さ」と「素朴な存在感」
- 洗って使うふきんやバッグにも耐える強度
- ざっくり太めなラインが映える模様の力強さ
- ナチュラルな風合いで、和テイストや北欧風にもマッチ
▶️ 実用的でしっかりした布小物を作りたいときや、
▶️ 糸の存在感を活かした模様を楽しみたいときにぴったりです。
刺繍糸の魅力は「繊細さ」と「表現の幅広さ」
- 糸の本数を調整できるから、表現の自由度が高い
- 光沢感や発色の良さで、華やかな仕上がり
- グラデーション糸やラメ糸など、色選びも楽しい!
▶️ 名前入れやワンポイント刺繍、
▶️ 繊細でアートな作品づくりにぴったりです。
どちらかにこだわらなくても大丈夫!
「刺し子には刺し子糸しかダメ」「刺繍は刺繍糸だけでやらなきゃ」——
そんなふうに思わなくてもOKです。
手元にある糸や、自分の“好き”に合わせて、
柔軟に、自由に組み合わせて楽しむのがハンドメイドの醍醐味。
使ってみて「これ、案外いける!」と思うこともあれば、
「やっぱりこっちの方がよかったな」と気づくことも、また経験になります。
あなたのペースで、自分らしいものづくりを。
刺し子糸と刺繍糸。
どちらも素敵な素材であり、表現の可能性を広げてくれる“手の延長”のような存在です。
それぞれの良さを活かして、
あなたの「作ってみたい」「やってみたい」をカタチにしてみてくださいね。
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