この記事では、刺繍針と普通の針の違いを説明します。刺繍をするとき「普通の針でも代用できるの?」という疑問を解消できるようまとめました。
刺繍を始めようとしたとき、特別な道具を買い揃えるのはちょっとめんどう…。わざわざ「刺繍針を使う理由」があるなら知っておきたい、そう思っていらっしゃる方は参考にしてみてください。
刺繍針と普通の針の違い
2種類の針は、似ているようで、使う目的や設計が違います。
刺繍針の特徴:針穴の大きさと形状
刺繍針の最大の特徴は、針穴が大きく作られていることです。
刺繍糸は通常のミシン糸よりも太く、6本〜8本の撚り糸を分けて使うことが多いため、太めの糸をスムーズに通せる設計になっています。
また、針穴の形状も楕円形で滑らかなものが多く、糸の摩耗や毛羽立ちを防ぐ工夫がされています。
刺している途中で糸が引っかかったり切れたりする可能性も低くなります。
フランス刺しゅう針です↓
普通の縫い針の特徴:何に向いている針なのか
普通の縫い針(手縫い針)は、ミシン糸や細い手縫い糸を使うために作られていて、針穴が小さいです。
刺繍糸のような太めの糸を無理に通そうとすると、針穴に入りづらいだけでなく、糸が傷んだり、毛羽立ちがひどくなったりする可能性もあります。
また、縫い針の多くは先端が鋭く尖っていて、布にまっすぐ刺す縫製用に適しているのも特徴です。
刺繍では布の目を拾うように刺す場面もあるため、この鋭さが逆に扱いにくく感じることもあります。
違いが生まれる理由:刺繍に便利な針の特徴
刺繍では、同じ布の上に何度も糸を重ねたり、太めの糸で繊細な模様を描いたりします。
そのため、針に求められるのは「太い糸を無理なく通しつつ」「布や糸を傷めず」「繊細な動きに対応できる」ことです。
刺繍針にはそのために適した形になっています。
こちら↓はクロスステッチ用針のセットです
刺繍針と普通の針の比較表
言葉だけではわかりにくいという方は、刺繍針と普通の針の違いを一覧にした表で確認してみてください。
比較項目 | 刺繍針 | 普通の縫い針 |
---|---|---|
針穴の大きさ | 大きめ(刺繍糸に対応) | 小さめ(細糸向け) |
針穴の形状 | 楕円形でなめらか | 丸形や小さめが多い |
先端の形 | 鋭い or 丸い(用途による) | 鋭く尖っている |
適した糸の太さ | 太めの刺繍糸(2本〜6本取り) | 細めのミシン糸、手縫い糸 |
適した用途 | 刺繍全般(布目を拾って刺す) | 通常の布の縫い合わせ |
糸通しのしやすさ | 通しやすい | 通しにくい |
普通の針で刺繍はできる?
「手元にある普通の針で刺繍のときにも代用できたら助かる」という気持ちにおこたえしていきます。
結論から言うと、条件はありますが、普通の針でも刺繍ができないことはない、です。
ですが、すべての場面で快適に刺繍ができるわけではありません。
ここでは、普通の縫い針で刺繍をするときの注意点などについて説明します。
「どんなときなら代用できるのか?」「逆に、どんなときに専用針が必要なのか?」を判断するヒントにしてみてください。
刺繍に普通の縫い針を使うのはアリ?基本の考え方
普通の針=ダメ、というわけではないのです。細めの刺繍糸や簡単なステッチであれば、手縫い針でもできる場合があります。
たとえば、
- 細い糸(1~2本取り)を使う
- 薄手の布に刺す
- 短時間の作業
といった条件がそろっていれば、大きなストレスなく使えることもあるでしょう。ただし、これは「あくまで簡易的な代用」としての話です。
本格的に刺繍を楽しみたい、図案に沿って細かく刺したいという方には、やはり刺繍針を使う方が断然おすすめです。
代用できる場合とできない場合の違いとは?
普通の針で代用できるかどうかは、下記のような部分を考えにいれて決めてみるとよいと思います。
条件 | 普通の針で代用可能? |
---|---|
糸が細い(1〜2本取り) | ◎ 比較的スムーズ |
糸が太い(3本以上) | △ 刺繍糸が針に通らない(通りづらい)可能性あり |
針穴が小さい | × 刺繍糸が通りにくい |
刺す布が薄い | ◎ 使える可能性大 |
布が厚い/織り目が粗い | × 針が通りづらくなる |
このように、針穴のサイズ・布の厚さ・糸の太さが大きなポイントになります。
「使ってみたけど糸がボサボサになる」「布に引っかかる」という場合は、刺繍針への切り替えをおすすめします。
使う糸の太さ・布の種類で通しやすさは変わる
刺繍糸は6本撚りの糸を2〜3本に分けて使うことが多いので、太さに幅があるのが特徴です。
太めの糸を使うほど、針穴に通しにくくなり、無理に通すと糸が毛羽立ったり切れたりしてしまいます。
また、刺繍に使う布も「リネン」「ガーゼ」「フェルト」などさまざまです。
普通の針は、こうした目の粗い布や厚みのある布に対して適していないことが多く、布の引っかかりやすさを感じることも。
糸と布の組み合わせによっては、普通の針だと逆に作業効率が下がる可能性もあります。
初心者さんには専用針がおすすめな理由
刺繍初心者さんにとって大切なのは、「ストレスなく気持ちよく刺せる」こと。
普通の針でもできる場面はあるとはいえ、最初のうちは失敗の原因を増やしたくないですよね。
刺繍専用の針は、
- 糸が通しやすく、扱いやすい
- 刺し心地がなめらかで布を傷めにくい
- 仕上がりもきれいに整いやすい
と、初心者にとって大きなメリットがあります。
「思ったよりうまくいかない…」と感じたら、まずは針を見直してみるのが一番の近道かもしれません。

刺繍針を使うメリットと選び方
「普通の針でも刺せるなら、わざわざ刺繍針を買う必要はある?」
そう思う方もいるかもしれませんが、刺繍針には刺繍を“楽しく続けるため”の工夫が詰まっています。
ここでは、刺繍専用針を使うことのメリットや、選び方のポイントを紹介します。
刺繍専用針を使うと、何がラクになる?
刺繍針を使う最大のメリットは、糸がスムーズに通り、ストレスが大幅に減ること。
普通の縫い針だと通しづらかった刺繍糸も、刺繍針ならするっと通ります。
また、布通りもなめらかで、引っかかりや糸の毛羽立ちが起きにくいのも魅力です。
結果的に、仕上がりもきれいになります。
「フランス刺繍針」or「クロスステッチ針」から
刺繍針にはいくつか種類がありま。
フランス刺繍針
細い布や繊細なデザインに向いていて、針穴が大きく、先端が尖っているのが特徴。
ステッチ刺繍やアウトラインステッチなど、定番の刺繍スタイルにぴったりです。
複数サイズ入りで、糸の太さに合わせて使い分け可能です↓
こちら↓は、フランス刺しゅう針と刺繍糸専用の糸通し(スレダー)のセットです。
糸通しについては、下記の記事でも解説しています。
>>> 刺繍糸がうまく針に通らない!スムーズに通すためのコツと便利なグッズを紹介

クロスステッチ針
布目に沿って刺すクロスステッチ専用の針で、先端が丸くなっていて布を傷めにくい設計になっています。
織りの粗い布や、刺し子風のデザインにも適しています。
自分がやりたい刺繍のスタイルに合わせて選んでみてください。
本数やサイズでどう選ぶ?迷わない選び方のコツ
刺繍針は「号数」でサイズが表記されています。
数字が大きいほど針は細く、小さいほど太くなるのが一般的です。
▼ 選ぶときの目安
- 太めの刺繍糸(3本取り以上) → 5号〜7号など太めの針
- 細い刺繍糸(1〜2本取り) → 8号〜10号など細めの針
- 布が厚い or 目が粗い → 太めの針が刺しやすい
- 布が薄い or 繊細な図案 → 細い針で丁寧に
数種類のサイズがセットになっている商品を選ぶと、どんな布や糸にも柔軟に対応できます。
刺繍針で失敗しないための便利グッズ!
刺繍を始めてみると、「針だけじゃなく、こんな道具があったらよかった…!」と感じる場面が意外と多いものです。
特に初心者さんにとって、針に糸が通らない・糸が広がる・切りにくいといった小さなストレスが、刺繍を続けるハードルになることも。こちらでは、刺繍針と一緒に揃えておくと快適さがアップする便利グッズを紹介します。
糸通しが苦手な方に:刺繍糸専用の糸通し(スレダー)
「針穴が小さくて糸が通らない…」「手元が見えづらい…」という方にぴったりなのが、糸通し。
こちら↓は刺繍糸専用の糸通し(スレダー)です↓
毛羽立ち・広がりを防ぐ:糸まとめワックス
刺繍糸の先が“ふわっ”と広がって針穴に通らない…そんなときに活躍するのが、糸まとめワックスです。
軽くひと塗りするだけで、毛羽立ちを抑え、糸のまとまりがよくなります。
乾燥する季節や長時間の作業にも◎。糸の絡みや静電気防止にも。
刺繍糸の毛羽立ちについてもう少し知りたい方は、下記の記事も参考にしてみてください。
>>> 刺繍が毛羽立ったときの直し方&防止方法!かんたんにできるお手入れ方法まとめ
こちら↓が糸ワックスです。
刺繍用シザー(小さなハサミ)も実は重要!
刺繍に欠かせないのが、先端の細い専用シザー(ハサミ)。
普通の文具バサミでは、糸先がうまく切れず、毛羽立ちや糸のほつれの原因になります。
刺繍用のハサミは、刃先がシャープで糸をきれいにカットできるため、糸通しもラクになりますよ。
こちらが刺繍ハサミです↓

まとめ
刺繍針と普通の針は、見た目こそ似ていても、構造や目的に大きな違いがあります。
刺繍針は太めの刺繍糸が通しやすく、布を傷めにくいように設計されているため、仕上がりの美しさや作業のしやすさに直結します。
「普通の針でも刺繍できるの?」という疑問には、簡単な図案や細い糸であれば代用可能な場合もあるということになりますが、快適さや完成度を求めるなら刺繍専用針の使用がおすすめです。
さらに、自動糸通し器や糸まとめワックス、専用ハサミといった便利グッズを組み合わせることで、作業効率がぐんとアップし、ストレスフリーで刺繍を楽しめるようになります。
「思ったようにうまくいかないな…」と感じたら、まずは針と道具の見直しから始めてみてはいかがでしょうか? 参考になれば嬉しいです。